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不動産の短期譲渡と長期譲渡について

酷暑の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

太陽の光が焼き付けるような日々が続いております。世間では鬼滅の刃の映画が盛り上がっていますね。鬼ではない私たちもこの太陽に照らされると消滅してしまうくらいの日差しではないでしょうか。兵庫の丹波では41.2度を記録し、国内最高更新のニュースがありました。熱中症対策は万全にして過ごしましょう。

 

本日のテーマは不動産売買の税金に関するお話です。

 

不動産の売却に際して、「短期譲渡」と「長期譲渡」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。この2つの違いは、税金、特に所得税・住民税に大きな影響を及ぼします。同じ不動産でも、売却するタイミングによって税額が数百万円単位で変わることもあるため、売却時には必ず意識すべき重要なポイントです。本コラムでは、不動産の短期譲渡と長期譲渡の違いについて、税務上の取り扱いを中心にわかりやすく解説し、節税のための戦略についても触れてまいります。

 

所有期間によって分かれる「短期譲渡」と「長期譲渡」

 

不動産の譲渡所得において、短期か長期かを分ける基準は「所有期間」です。ただし、ここで注意が必要なのは「売却日」ではなく、「その年の1月1日時点」での所有期間で判断されるということです。具体的には以下のように定義されています。

 

  • 短期譲渡所得:その年の1月1日時点での所有期間が5年以下
  • 長期譲渡所得:同じく1月1日時点での所有期間が5年超

 

たとえば、2019年5月1日に購入した不動産を2025年2月に売却した場合でも、2025年1月1日時点では所有期間が5年未満となるため、「短期譲渡」に該当します。仮に売却を2025年5月以降にずらせば、「長期譲渡」扱いとなり、税率が大きく下がることになります。

税率の違いとそのインパクト

所有期間によって異なるのは「譲渡所得にかかる税率」です。以下の表をご覧ください。

区分 所得税 住民税 合計税率(概算)
短期譲渡 30% 9% 39%
長期譲渡 15% 5% 20%

さらに、上記の所得税には「復興特別所得税(2.1%)」が加算されますが、ここでは便宜上概算としています。このように、短期譲渡では実質的に約2倍近い税率となるため、利益が出る売却であればあるほど大きな税負担が生じます。たとえば、譲渡益が1,000万円であれば、短期譲渡では約390万円、長期譲渡では約200万円の税金となり、差額はなんと190万円にもなります。

 

譲渡所得の計算方法

 

税額の基礎となる「譲渡所得」は、以下のような式で求められます。

譲渡所得 = 譲渡価格 −(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:購入代金、仲介手数料、登録免許税など
  • 譲渡費用:売却時の仲介手数料、測量費用、解体費用など

なお、投資用物件などで減価償却を行っている場合は、取得費が減額されている点に注意が必要です。減価償却が大きいほど、帳簿上の取得費が下がり、譲渡所得が増え、結果として課税所得が大きくなります。

 

節税のための戦略的なタイミング

 

不動産の譲渡時には、単に「高く売れたかどうか」だけでなく、「いつ売却するか」というタイミングも、節税の上では非常に重要です。特に、短期譲渡と長期譲渡の「境目」にいる場合(所有期間4年半〜5年程度)には、数ヶ月売却を遅らせるだけで税率が半分になる可能性があります。さらに、「マイホームの売却」の場合には、3,000万円の特別控除が適用されることがあり、この特例を使えば、売却益が出ていても所得税・住民税がゼロになるケースもあります。ただし、この特別控除は「居住用財産」に対するもので、投資用不動産や空き家には適用されません。また、10年以上所有しているマイホームを売却する場合には、さらに「軽減税率(所得税10%・住民税4%)」も適用され、非常に有利な税制となります。

 

法人名義との違いにも注意

 

上記はあくまで「個人が不動産を譲渡した場合」の税制です。法人名義で不動産を所有している場合は、譲渡益は法人税の対象となり、所有期間による税率の変動はありません。法人の場合は、短期・長期といった区分自体が存在しないため、損益計算や節税戦略は全く異なる視点で検討する必要があります。

 

実務でありがちな注意点

 

最後に、短期譲渡と長期譲渡を巡る実務上の注意点をご紹介します。

  1. 名義変更のタイミング
    贈与や相続によって名義変更があった場合、所有期間は「取得した日」によって判断されます。相続の場合は被相続人の取得日を引き継げますが、贈与の場合は引き継げません。
  2. 建物と土地で取得日が異なる場合
    中古戸建などで、建物の取得日は古くても、土地は後から購入したなどのケースでは、それぞれ別々に短期・長期を判定する必要があります。
  3. 複数回買い増し・買い直ししている物件
    リフォーム後に名義を移している場合などは、税務署の指摘対象となる可能性もあるため、取得履歴は明確にしておく必要があります。

 

まとめ:売却タイミングを制する者が節税を制す

 

不動産売却においては、「いくらで売るか」と同じくらい「いつ売るか」が重要です。短期譲渡と長期譲渡では、税率がほぼ倍近く変わるため、所有期間の管理とタイミングの見極めが非常に大きな節税効果を生む可能性があります。特に、投資用不動産を所有している方や、相続などで不動産を受け継いだ方、将来的に売却を検討している方は、ぜひ一度「所有期間と売却時期」の見直しをしてみるとよいでしょう。税務は専門的で複雑な分野ではありますが、たった数ヶ月の違いで数百万円の差が出るのが不動産譲渡の世界です。税理士など専門家の力を借りながら、最適なタイミングでの売却判断を行い、賢く不動産資産を活用していきましょう。

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