
やるとしたらどっち?地方高利回り VS 都内低利回り物件
新社会人のみなさん、ご入社おめでとうございます。
私が新入社員のころを思い出してみると、運よく希望した通りの部署に入れました。しかし、既存事業を縮小し、新規事業に参入する経営判断により、やってみたかった仕事はできませんでした。ちなみに埼京ホームでのお話ではありません。
まったく興味がない仕事を始めて、このままでいいのかと思っていましたが、何ごとも慣れてくるとその面白さを感じられるようになります。さっそく思い通りにいかないことがある方もいると思いますが、腐らずにまずは続けてみてはどうかと個人的には思います。腐らずに歩き続けていると、何か見えてくるものがあるかもしれません。
かつて中国の思想家の魯迅という人物が故郷という小説を書きました。「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」という一節があります。道なき道を歩くと、草が潰されてそこが跡になります。誰かが歩きやすいと思ったら、そこへ人が通り、さらに草がつぶれてを繰り返し、やがて道が広くなっていきます。いつの日か振り返ると、自分の後ろに続く人が大勢いるかもしれません。その道で生涯の伴侶や仲間、好敵手に出会います。
新卒の代は特別な知識、技術が求められることはないでしょう。だからこそ、ただ前に歩く、それ自体をやめなければよいのです。
世代が違う上司、学歴に差がある同僚、一芸に秀でて入社した人材など今まであまり関わって来なかった人と一緒に仕事をします。当然のごとく、その人たちとの人間関係は避けて通れず、自分の考えが伝わらず、悩む時期がきます。
ある日、養老孟子先生が執筆した「バカの壁」を読みました。理解されない、伝わらないことに悩む人にとっては新たな気づきがあります。詳細は省きますが、私はその本に支えられました。何かつらいことがあれば、だまされたと思って、読んでみるのもいいかもしれません。なんと、ブックオフに行くと100円だったりします。かつてのベストセラーです。魯迅の一節と支えられた書籍を紹介してみました。
みなさんの未来が明るいものになるよう、武蔵浦和からエールを送ります。
さて、本題の不動産コラムです!
地方高利回り物件 VS 都内低利回り物件
— 不動産投資における“利回りの罠”と本質的価値 —
不動産投資において、「利回り」は最も注目されやすい指標の一つです。特にポータルサイトを見ると、地方の物件には表面利回り10%、15%、場合によっては20%を超えるような物件も掲載されています。一方で、東京都内の物件は3%〜5%程度が一般的であり、この差に疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。一見すると、利回りの高い地方物件の方が圧倒的に有利に思えます。しかし、この考え方は一部正しいですが、注意するポイントがあります。
なぜなら、この利回りの差には、それぞれ異なるリスクや特性が反映されているためです。まず、地方の高利回り物件について考えてみます。これらの物件が高利回りである理由は、「リスクが織り込まれているから」です。具体的には、人口減少、賃貸需要の弱さ、そして不動産としての流動性の低さが挙げられます。例えば、500万円で購入した物件から年間80万円の賃料収入が得られれば、表面利回りは16%となります。
しかし、この収入が将来にわたって安定的に続くとは限りません。入居者が退去した場合、次の入居者がすぐに決まる保証はなく、空室期間が長期化すれば収益は大きく低下します。また、地域によっては賃料の下落圧力も強く、長期的には収益性が悪化する可能性もあります。さらに重要なのが、売却時、いわゆる出口戦略です。地方の不動産は買い手が限られるため、売却が難しいケースや、大幅な値下げを余儀なくされるケースが少なくありません。その結果、運用中の利回りが高くても、最終的なトータルリターンが低くなる可能性があります。一方で、東京都内の低利回り物件には異なる強みがあります。まず、賃貸需要が安定している点が挙げられます。人口が集中している都市部では、空室リスクが比較的低く、賃料水準も維持されやすい傾向があります。そのため、収入のブレが小さく、長期的な収支計画が立てやすいというメリットがあります。
また、資産価値の維持・上昇が期待できる点も大きな特徴です。東京都心部では土地の希少性が高く、需要も底堅いため、価格が大きく下落しにくい傾向があります。場合によっては購入時よりも高値で売却できることもあり、キャピタルゲインを含めた総合的な収益性では、地方物件を上回る可能性もあります。ここで重要なのは、「利回り」という数値の意味を正しく理解することです。利回りはあくまで結果であり、その背景には必ず理由があります。高利回りには高利回りとなる理由があり、低利回りにもまた合理的な背景が存在しています。さらに視点を広げると、両者の違いは投資スタンスの違いとも言えます。地方の高利回り物件は、入居付けやリフォーム、運営管理などによって収益が大きく変わるため、「事業」に近い性質を持っています。一方で、都内の低利回り物件は、立地の強さに依存する部分が大きく、「資産保全型」の投資と位置づけることができます。
どちらが優れているかは一概には言えません。重要なのは、自身の投資目的やリスク許容度に応じて選択することです。短期的なキャッシュフローを重視するのか、それとも長期的な資産形成を重視するのかによって、適した投資対象は変わってきます。実務的には、両者を組み合わせたポートフォリオを構築するという考え方も有効です。例えば、地方の高利回り物件でキャッシュフローを確保し、その収益を都内の安定資産に再投資する方法や、都内で基盤を築きながら一部で地方物件のバリューアップを狙う方法などが考えられます。
最後に注意すべき点として、「利回りが高いから購入する」という判断は避けるべきです。重要なのは、その利回りがどのような前提で成立しているのかを理解し、自身がそのリスクを適切に管理できるかどうかを見極めることです。不動産投資は、単なる数値の比較ではなく、その背後にある構造を読み解く力が求められます。表面的な利回りにとらわれず、長期的な視点で判断することが、安定した成果につながる重要なポイントです。
余談ですが、今回のコラムは新書大賞2025を受賞された、文芸評論家の三宅香帆さんが執筆した「文体のひみつ」を参考にしてみました。文字をどう読みやすくするかを解説した書籍になります。いつもより面白かったと思って頂ければ幸いです。

