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何かと話題の民泊について

朝夕はようやく凌ぎやすくなりました。

内閣総理大臣の石破茂が辞任を発表し、次の自民党総裁の行方が気になるところです。経済、国防、外交、拉致問題など日本には解決しなければ問題がたくさんあり政治が停滞しないよう政治家の皆様には取り組んでもらいたいところ。最近の政治家はマスメディアの影響もあってか味のある言葉選びにはかなり慎重になっている印象があります。かつての政治家には印象に残る方々がいました。

パッと思いつくのは東京都知事を歴任した石原慎太郎、国会の暴れん坊こと浜田幸一、日本列島改造論を唱え、人たらしでも有名な田中角栄でしょうか。彼らの功罪は横に置いておくとして自分の言葉で民衆に訴えていた政治家であったと思います。さて、政治の話はここらにして今回はいま何かと話題になっており賛否が分かれる民泊についてです。本コラムでは、民泊と一般的な賃貸経営の収益性を比較しながら、メリット・デメリットを含めて検討していきます。

 

民泊は賃貸よりも儲かるのか?

 

不動産投資において、民泊(Airbnbなど)と一般的な賃貸経営のどちらが儲かるのかという疑問を持つ人は多いでしょう。インバウンド需要やライフスタイルの多様化によって民泊市場が急速に拡大した一方で、法規制や運営コスト、地域住民とのトラブルなどのリスクも報告されています。民泊とは、個人や法人が自宅や所有する不動産の一部または全部を短期間、旅行者などに貸し出す宿泊サービスです。AirbnbやBooking.comなどのプラットフォームを通じて貸し出すのが一般的で、ホテルよりも安価で個性的な宿泊体験を提供できることから、特に外国人観光客に人気があります。

一方、賃貸経営はアパートやマンションの一室、または一棟を長期間にわたって貸し出し、月々の家賃収入を得る不動産投資スタイルです。契約期間は基本的に2年程度で借主の希望に応じ更新を行い、入居者がいれば安定的な収入が見込めます。

 

民泊 VS 賃貸 収益が高いのはどっち

 

民泊は利益率が高いといわれており、2022年の観光庁のデータによると、マンションを利用した民泊経営の利益率は全国平均で15.9%(※1)、東京都特別区で10.5%(※1)です。一棟マンションや区分マンションを賃貸にするよりも実質利回りが高いと言えるでしょう。

 

特に、以下のような条件がそろえば民泊は収益性が高くなります。

 

・観光地や都市中心部に立地している
・周辺にホテルが少なく、需要が供給を上回っている
・清掃・運営体制が効率化されている
・外国人観光客が多いエリア

 

ただし、稼働率が低ければ収益は一気に落ち込みます。繁忙期と閑散期の差が大きく、安定性に欠ける点は見逃せません。観光産業が盛り上がればそれに比例して収益率が高くなりやすい傾向があるため、諸外国の政治事情や風評被害に影響されやすいです。一方で、賃貸経営は家賃が固定されているため、安定した収入が見込めるのが強みです。空室リスクさえ抑えられれば、毎月確実に収入が入るため、ローン返済や将来設計が立てやすくなります。人口動態など統計を用いて精度の高い収支を作成しやすいというメリットもあります。

 

民泊ならではの手間と法令

 

民泊運営には、以下のような手間がかかります。

・予約管理やゲスト対応
・清掃費用(毎回必要)
・リネン・消耗品の補充
・許認可取得(住宅宿泊事業法などの法令遵守)
・保険・セキュリティ対策
・サイトへの掲載・広告費

これらは、外注すれば費用がかさみ、内製化すれば手間が増えるため、オーナーにとっては運営負荷が高い投資手法と言えるでしょう。賃貸経営では、一度入居者が決まれば基本的にほとんど手間がかかりません。管理会社に任せておけば、家賃徴収、トラブル対応、修繕対応なども代行してもらえることがほとんどです。コスト面では、管理委託料(家賃の3〜5%程度)、修繕・原状回復費用、火災保険などがありますが、民泊に比べればコストは低く、収益のブレも少ないのが特徴です。

 

年間180日の法令規制とその対策

 

民泊を開始するにあたり最もネックになることは住宅宿泊事業法(民泊新法)のもとで運営する必要があり年間営業日数が最大180日までと制限されていることです。180日分の営業日を過ぎた場合、民泊はできません。

しかし、1カ月以上のマンスリー賃貸に切り替えて再度180日分の営業日が付与されるまで乗り切るという方法をとっている会社もあります。たとえば、毎年4月は全国津々浦々の新卒の皆様が東京に一同に集まり研修などが盛んに行われるため、泊まりの場合はホテルよりも民泊物件のほうが企業からすると費用対が良く、一棟まるごと借り上げて社員の一時滞在先にする企業もあります。このような事情から4月から数カ月程度は民泊ではなく、マンスリーで提供する事業者が多いようです。

 

まとめ

 

結局のところ、民泊と賃貸ではどちらが儲かるかという答えは、うまくいけばという条件付きですが民泊に軍配が上がります。ざっくりとしたイメージはこんな感じです。

民泊 > アパート・マンション賃貸 > 駐車場・資材置き場etc

民泊と賃貸はどちらかを選択しなければならないといったことはなく、例えば5階建てのマンションを所有している場合、1階で民泊を行い2階からは賃貸というように組み合わせることも可能です。民泊の調子が良ければ賃貸で退去が出た部屋を次々に民泊にしてしまうという手法もあります。逆に民泊がうまくいかなかった場合は賃貸に戻せばよいのです。

2025年現在、インバウンド需要はコロナ禍を乗り越えて回復傾向にあり、観光地の民泊市場は再び注目を集めています。しかし同時に、法規制の強化や競合の増加も進んでいます。民泊は誰でも簡単に儲かる時代ではなくなってきており、戦略的な投資と運営が求められます。一方で、安定性を重視する投資家にとって、賃貸経営の魅力も根強いものがあります。重要なのは、「自分の投資スタイル」と「地域の市場環境」に応じて、適切な手法を選ぶことです。どちらが自分にとって最適かを見極めることが、成功する不動産投資のカギと言えるでしょう。

※1 住宅宿泊事業の実態調査
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/content/001479286.pdf