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2025年テーマ『脱皮』Ⅰ

2002年7月1日、わたくし26歳と12か月(ほぼ27歳)で現在の会社に入社しました。そしてこの年に結婚し、夫婦二人三脚で猛烈に働いてきました。当時どんなやり取りがあったか記憶が定かではありませんが、『私がこの会社を背負って継いでいく』と決意して入社したことだけは忘れていません。年当初、父が倒れて「もう後がない」という状態。当時付き合っていた彼女を連れて初めて家族と面会したのは病院の一室。「あーうー」しか言葉を発せられない父と泣きじゃくる母、当惑した姉たちのところで初顔合わせという、とんでもない状況下の中での一幕でした。

当時勤めていた会社は、高級住宅某所内にある新築分譲住宅の仲介専門業者でした。今では考えられないほど体育会系なその不動産業者は、一日もてば一週間、一週間もてば一か月、一か月もてば三か月、三か月持てば半年もつか…と言われていました(本当の話)。なにせ朝礼からして超ハード。社長はゴリラ(ごめんなさい)の様な顔と体で元プロボーラーだったとか(ラグビー部かと思っていました)。話に火がついて盛り上がってくると、課長たちを前に並ばせて平手打ち!気合を入れておりました。

まさにソリを引く犬です。ソリに一番近い犬に鞭を打たれて「キャン!」と鳴けば、それに恐れをなした前の犬たちが必死にソリを引くために力を振り絞って走っていくのです。社長から各部長へと移り、各課長係長へと移り、各主任たちから平職の営業まで指示がなされるのです。そう毎日です。朝礼が終わると洗車にでます。こちらもほぼ毎日です。水洗い・水垢取り・ワックス拭き上げと車内清掃。給料は固定+歩合でしたが、ノルマもたんまりあります。先ずは古客に電話営業。私の様な下っ端は新規のお客様はいただけません。問い合わせから3ヵ月以上、古くは3年といった方々までのリストがあり、片っ端から電話してお家を紹介していくのです。色々な営業から電話が来るので怒られることもしばしば。その他にダイレクトメールとして物件資料を20件に送る。また委任取りのために訪問営業、販促物件の下見がてら写真撮影。そして土日の案内アポ取りである。

朝も早かった…。でも私は朝が早いのは苦ではありません。埼京線が殺人的に込み合うので3本前の電車でゆっくりと通っていたため、会社にはいつも一番乗り。掃除も徹底してやっていました。全社員約50名程が毎日掃除するので、掃除するところが無いほどいつもどこもピカピカでしたが、手を抜くことなく掃除だけは丁寧にやっていました。でも中々成績は上がりません。成績どころか土日の案内も取れない。基本的に営業会社は土曜日午前1本・午後1本、日曜日午前1本・午後1本の計4回案内をするのが基本です。週末に社内で昼飯でも食って居ようものなら、上司の機嫌が悪いと灰皿が飛んでくる始末(当時は社内で喫煙OK)。もう殺伐としています。そして案内したら来社が鉄則。案内したのにお客様を帰してしまうと鬼の形相で叱られるのです。

そんな大変な会社でしたし、成績もおぼつかない私でしたが、どんどんやめていく社員をしり目に、5番(部屋の個室番号)でツめられることはあっても、なんとかギリギリ辞めさせられずに済んでいました。「宅建」資格があったらだと思われます。当時営業マンは40名程度、資格をもっているものは私含めて数名でした。普段社内で見たことがない人も宅建士として登録されているくらい、宅地建物取引士(当時は宅地建物取引主任者)の資格保持者は重要。なにせ資格がなければ、宅建業法で定められている契約前に行う重要事項説明ができないのですから。私は他の部署からも重説を頼まれて、始めから終わりまで暗記してしまうほど、重説を読みまくっておりました。

しぶとく続けていると神様がみててくれる。古い顧客リストから案内が取れる様になります。そうすると今後はどのようにお客様にアプローチするか考えるようになるけど、どうして良いか分からない。先輩から教わるも人によって様々だったし参考になるものはごく僅か。そう言えば当時、ローラースケートで舞台を駆け巡る男性アイドルグループ光GENJIの諸星さんに似ていると思っていた渡辺主任から教わったことは今でもよく覚えている。案内の最中でもヒアリングして予算が5,000万円以下だったら、その場で車から降ろして構わん!って…。都内で一戸建てを買うのに5,000万円以下では当社の客にあらずという強硬なところでした。

当時参考になったのは、父から譲ってもらったいくつかの営業の本。営業こそ勉強が必要な業種だという父の持論で、本はよく読んだ。わが社で入社前にとるアンケートの中にも質問の一つとして入っているものだが(今でも入っているだろうか?)、特に『ステーキを売るな、シズルを売れ!』という冒頭の名言でも有名な「ホイラーの法則」は熟読したものだ。他にもレターマンの「販売は断られたときから始まる」など古い著書だが現代でもなるほどとうなずけるものばかりだ。父の読書好きは筋金入りだが、私も本はよく読み参考にするし助けにもなってもらっている。

若干話がそれたが続きは明日へ…