価値の高いシキエン
大谷口17区画プロジェクトの9号棟(右手前の水道メーターのある敷地)
敷地延長地(以下、シキエンだ)は旗竿地とも言うが、とある土地の形状を表す言葉だ。建物は建築基準法上に定める道路に2m以上接していなければ建築できない。そのため道路に対して奥行きのある土地を有効活用する時には、道路に接している土地を数多く生み出すため土地を分割(これを分筆という)する。この時生まれる新しい土地、そう道路の対して旗を立てたような形状になる(家が建つ土地まで通路状の敷地が続く)のがシキエンだ。
シキエンは日当たりが悪いとか生活上使い勝手が悪いなどと言われがちだが、実のところそんなことはない。と言うより、現場現場によって日当たりも生活上の導線も車庫入れの難易度も大きく変わる。決して形状の影響ではないのだ。もちろん道路に対して□な土地に比べれば資産価値は劣る(その分、固定資産税も安い)。
建築できるからと言って間口2mでは乗用車を駐車するのは至難の業(駐車でいても出られない)だ。そのため建売分譲地では2.5mにしてあるところが多い。乗用車幅は1.8m位だから計算上は通常の駐車場も2.5mごとに白線が引かれているので問題はないのだが、実のところ境界真ごとにブロックが積まれているので、有効幅は2.4mといったところだ。どちらにしても塀に仕切られた2.4~2.5mというのはとても窮屈なのだ。
そこでこの度の分譲地コリーナベルデ南浦和では、新しく生まれた4つのシキエンの間口は2.7mとし、一部を塀で仕切らないことにした。接する道路は開発道路の6m幅員であり、これで駐車の懸念はなくなっている。車が止めてあっても、その奥の敷地に自転車を手押しで持っていくことができる位の幅を確保できている。そして日当たりだが、全棟2階建てとし、高低差をつけて奥側の敷地にも十分に陽の光が入るようにしている。
そして、この現場の特徴を最大限に体感できるのが、何といってもこのシキエンの4区画だ。山地の大谷口は、この現場も例外ではない。北に行くにしたがって低くなっており、此度の分譲地を開発する上でも何度も試行錯誤したところだ。私たちが選んだ手法は、北側の傾斜地を擁壁でふさいで丘をつくることだった。擁壁はどんな大きな地震がきても崩れることのない程、大きな杭を100本以上打ち込み、その頭と擁壁の基礎を緊結一体化し、認定レベルを超える強度を誇っている。
そのため、奥側にあるシキエン地からみる景色は、山の上から町を見下ろす形となり、素晴らしい景観をたたえている。この借景を享受できるのは、コリーナベルデ南浦和のシキエン(9.10.13.14)を選んだ4組に限られるわけである。固定資産評価額が成形地と比べると低くなるが、ここに住む意義はとても高いと言えよう。建物が出来上がったときの景観を想像するのは難しいが、何度も現場に足を運んでみてもらいたいと思うところだ。