今年の宅建士試験受験申込者は2万人を超えた。そして、年を経ても維持されるもの、劣化するもの、変化するもの。
街中を強い香りで彩るキンモクセイ
10月20日(日)『10月の第3日曜日はいつも静かだ』と帰ってくるなり私に話しかける会長殿。今日は、士業の仲間入りを果たして久しい不動産業者の最低にして最高の資格『宅地建物取引士』資格試験の日なのだ。埼玉県内では20,640人の受験申し込みがあったらしく、昨年を上回り相変わらずの人気ぶりを見せている。その割には不動産業界の人気はいま一つというから、資格を取得した人たちは何処に消えていくのやら?とは言うものの、民法の基本であったり住まいの身近な問題であったりと、敷居は低く馴染み易いだけに人気があるのだとは思われる。また、土地家屋調査士や司法書士などあらゆる資格試験の登竜門とされる位置づけでもある宅建士試験。国家資格の中では難易度は高くないのだが、社会的地位の高い司法書士の先生方よりずっと稼げる資格だと昔父に教わった記憶がある。
いろいろなことを教わった父は今年で87になるか。大病を2.3度患っている割にはと言っては失礼だが、比較的元気だしボケてもいない。近頃母とは冷戦状態というから、喧嘩できるうちが花だろうと思うようにして大体で流しているのだ。母の言い分によれば何かの言葉をきっかけに引きずられたから堪忍できない!とか…。おそらく頭にくることを平気でポンポン発したのだろうと想像に難くないのだが、近頃の〇君を見習って適宜相槌をうちながら懸命に聞いてあげるところなのだ。通常なら親元を離れて暮らす世帯だから、年に1.2回、時間にしても数えるほどしか時間の共有が出来ないという親孝行なのだが、自分の場合はほぼ毎日顔を合わせているのだから、うんざりするくらいお付き合いしているので自分をほめてあげたい。
ところでこの週末、とあるオーナー宅を訪れると庭木にこれでもか!とばかりに存在感をのぞかせるキンモクセイ。とても良い香りなのだが、鼻の効きが良い私は香りが強すぎて正直苦手だ。そんなキンモクセイを囲うブロック塀はかれこれ二十数年以上きれいに保たれたまま。雨で濡れると経年で汚れる。雨は酸性だから少しずつ黒くなっていき、段々ボロボロになってしまうものなのだ。そしてこのオーナーさんのブロック塀には瓦の笠木で覆われている。雨が直接ブロックに当たるのを防いでくれし、焼き瓦だから雨に強く浸透しない。だいぶ古風だが家の外観にはマッチしているし、何年通っていても全く汚れ知らずだから感心しているところだ。
焼き瓦を笠木にして、年を経ても保たれる美観を維持している。ほぼほぼきれいだ。
通常だと雨に打たれて酸性雨で黒ずんでしまうしボロボロになっていく
ブロック塀も道路際に埋めたモルタルも黒い
さて、この話のオチ、それは父だ。近頃母から父の話をよく聞くものだから、思い描く先代のかの凛々しいお姿。厳しい人であった…特に挨拶や返事は声が小さいと社員を容赦なく怒鳴りつけていた。そして難問が持ち込まれても決して逃げることなく問題を解決してきて信頼を得てきた。よく勉強するこの仕事のプロフェッショナルでもあった。父がこの会社を創業したのが今の私の年齢。この年で会社を立ち上げて土台を作ることがどれほど大変であったことか計り知れないが、私たちはその恩恵を受けながら仕事をしているわけだから、常に感謝の念を忘れてはいけない。代表を次いで14年目、道のりは険しくまだ長い。これからが本番と位置付けるべし。年を重ねてやりがいと生きがいをもった仕事ができる良い方へ変化していきたい。明日へと続く…。